カメラおいしい

撮影させて頂いた方をプレゼンするblog

シンデレラを知っているか

某所にて撮影

model:宇佐美みる。さん


ーー


シンデレラという童話がある。

継母から虐げられたシンデレラが、
とある魔女と出会い、
掛けられた魔法で美しくなって、
王子様と結ばれるという有名な話だ。


もし。
なんの変哲のない人を、
魔法使いに変えるシンデレラがいたとしたら。

私は、雨降る薔薇園でそんな被写体さんと出会った。


ーー


春先にアカウントを立ち上げた。

長く使い古したアカウントを捨て、
一新し、
カメラ専用のものに。


長い付き合いの友人がいない中、
被写体になってくれる方は皆無 。
私はタグを使って被写体を募るしかなかった。


過去作品もないアカウントは怪しい。
反応は薄かった。
むしろ無かった。

ただ反応を待ち、
諦めかけそうになった期日前。
滑り込みで応えてくれたのが、彼女だ。

おもいかえしても、
とても勇気ある事だとおもう。
過去作品のない
何を撮るかも分からない人に対し、
時間を預けられるだろうか。


大胆不敵さというか、
そういった思い切りの良さを携えつつ、
思わずこちらが腰を低くしたくなる対応で、
彼女は快く撮影を受けてくださった。


そして、
待ち合わせ場所に、
シンデレラは現れた。


花開く笑顔を浮かべ、
「まきさんですか」と問いかけて。


あの時から私は、
魔女の道に進むこととなる。



撮影場所は薔薇園
屋上庭園で、雨降り。
奇しくも、私たちがシャッターを切り始める頃には快晴。


雨露に濡れる薔薇の中、
夢の情景に溶け込む彼女は
本当に美しかった。
ファインダー越しから伝わる、
楽しみ、花を愛で、
空気そのものを愛する様子に
無性に何かが込み上げる。



様子見で1枚。

それが、始まりだった。


それ以降、
途切れることなく
私は彼女を撮り続けている。



カメラマンと、被写体として
魔女と、シンデレラとして

時に、尊敬する女性として。


宇佐美さんは強い。
それはずっと変わらない。

未知のものに、
どうして飛び込んでいけるのか。
あれだけ純粋な眼差しを向けられ、
「すべてお任せします」と言われ、
応えないカメラマンがいるものだろうか。

言葉で、態度で、
そうやって信頼を見せてくれる。

初対面の際、
「まるで城のお姫様のようだ」と
例えたことがある。
まさにそうだ。
腹を据え、
まっすぐ向き合う強さ。
動じない心構え、
奥ゆかしく、品のある佇まい。
時折魅せる、愛嬌だとか。

ファインダーを
万華鏡に彩る、
不思議な女性。






お互いに違う分野ではいるけど、
彼女は被写体として、
なにかを周囲に伝えている。

彼女の意図とは違うだろうけど、
少なくとも私は、
可能性を教えて頂いた。
そのおかげで、
私はカメラに向き合えた。



オフのとき、
私に零して下さった事を思い出す。

誰もいない喫茶店で、
紅茶を飲みながら
カメラや被写体について、
熱く語り合った時のことを。


外の気温に反して、
熱くなっていく互いの情熱は、
内々から湧き上がって
互いの眼差しが変わった。


それが、私の「魔力」の源
今でも「魔法の杖」に宿っている。


あれから少し時間が経ち、
活躍の場を広げるために、
階段を登り、
彼女は更に変化を遂げた。

被写体として、
みるみる成長する彼女は、
可能性の塊でしかない。


強さも礼節もそのままに、
女性として、
さらに気高く美しく。


1人の人間を魔女にしてくれたシンデレラ

彼女を語らずして、
私のカメラの在り方は語れないのだ。
感謝せずには、いられない。








彼女を語る画像を探して、
それに相応しいのは、
この1枚。

私が魔法に掛けられた1枚
今でも宝物。
カメラを志す方、
被写体として高みを目指す方、
レイヤーとして表現を磨く方

そんな方が、
魔法使いになれる
そんなご縁がありますように。


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