カメラおいしい

撮影させて頂いた方をプレゼンするblog

約束を果たしてきた

10月某日

スタジオコローレにて

へし切長谷部・にっかり青江:月宮さん
ジャンル:刀剣乱舞


ーーー

 

 

改めて言葉にすると、
筆が些か迷ってしまう。

 

ひと言で纏めるなら、
あなたとご縁があって良かった。

 

 


ーー・ー


先日ご紹介した宇佐美さんとの出会いの後、
私は神様から、またひとつご縁を賜った。


月宮さんとの出会いである。

 

撮影者募集の記事に応募したのが、
始まりだった。
それから、するすると撮影機会は増え、
ひと月に2-3回は撮影を交えた気がする。

 

 

優しい人。
それに尽きる。


その人柄は周りを引き寄せるし、
写真から伝わる。

周りを第一に慮る方であり、
腰は低く、
それでいてユーモアがある。

この人柄を文字で伝えられないのが、惜しい。

 


私は夢中になると、
猪突猛進で、
タイトスケジュールをお願いしたい事もある。
今となっては、
もうお恥ずかしいやら、
顔を覆いたくなる稚拙な事をしたものだ。

それでも、嫌な顔をひとつもせず、
「お忙しいところお時間を割いて頂いて」と言うのだから、
どれだけ出来た人なのだろう。

 

 

あと3年早く出会っていたら。
そう思わずにいられない。


ーー

 

 

そんな彼女と、
昨日、約3ヶ月ぶりの個撮をしてきた。

互いにタイミングが合わず、
気づいたら外は秋風が薫るようになっていた。
時の流れは早い。


夏、とある事で流れた撮影を、
今になって果たせたのだと思う。


月宮さんは変わることなく、
お怪我などされないようにと念押しし、
急ぐ私を気遣って下さった。

 

撮影の際も、
休憩はできましたか、
すこし休みましょうか、と

撮影側のことを良くみてくれる。


未熟な私が、一生見習うべきひとだ。

 

私が撮影をするときや、
撮影場所を考える時は、
月宮さんにして頂いた配慮が元になることが多い。

遠過ぎないか、
環境はきつくないか、
私が担えることは無いか。

これは「しなきゃいけない」義務ではない。
「想いに応えたい」から生じるものだ。
自然とそうしたくなる。


彼女とのご縁のおかげだ。
私の作風も、少しずつ変わったのも
きっとその所為。

 

 

綺麗に撮って当たり前、
使ってもらってからが勝負。

 

でも、

 

その人の心に残るものを、1番に。

 

 

万人受け、イイネ狙いより、
その人が開花できるものを。
そういった1枚を撮りたい。

 


カメラの関係で卑屈になりかけた時、
ぼろっと弱音を吐いたことがある。

 

あの時に彼女に支えられたから、
カメラを捨てず、自暴自棄にならず、
己の弱きを見据えられたと思っている。

 

何気ないひと言に救われた。

 

月宮さんはやさしい。
私が、そうなりたいと思う要素を全て持った方だ。

憧れ、敬わずにはいられない。


私の作品は、
「今まで知らなかった自分を知れる」
「引き出される」と、よく言われる。

 

私がそうしてもらってきた。


卑屈で、他人をやっかみ、
弱い自分は、そうやって救われた。

だからこそ、強く作品に反映されている。

自分が知らなかった長所を知り、

目の前のたった一人を大切にする姿勢から、

私は「引き出して」頂いた。


彼女がいてこそ、これがある。


誰かの心に寄り添える一枚。
そう思えるようになったのは、
月宮さんのおかげなのだ。

 

その彼女の人柄が、

写真で伝えられたらいい。

 

今持てるだけの私を率いて、

そうやって臨んだ撮影だった。

 

 

 

ーー

 

 

彼女が褒めてくれる
ライティングと、構図。

 

最高に美しくて、
綺麗で、天国に届くような一枚。

私は、夏以来ずっとこれを目指してきた。

 

 

 


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三千世界の鴉が憎い。

10月某日

乱藤四郎&堀川国広

model:楓嗣さん
ジャンル:刀剣乱舞



あなたとのご縁が絡み合い
そうして過ごす時間は
蜜色のようだ (意訳)

 


熱烈な恋文を贈られてしまった。
真っ直ぐな瞳に射抜かれて。


これに応えぬとは、
カメラマンとして如何なものか。

脳髄の端から
ちりちりと灼ける焦燥を抑え、
今宵は長い返歌をしようと思う。


ーー

 

 

月に10回前後の撮影を組むので、
私は捕まえにくいカメラマンだ。
断りをいれる事も少なくない。

だが、
稀に都合が付かずに、
2日くらい空くことがある。

そこでご縁があった美しい人。
楓嗣さん。

 

《ずっと万喜さんの作品を拝見しており、撮影の機会を伺っておりました》


開口一番こう口説かれて、
本気以外の何を出せというか。
もちろんいつだって本気だが、
最初からブーストが入ってしまった。


完全に骨抜きにされた。

 

美しい白百合の蕾の中に、
とんでもない物を隠し持っている。

幾重に折り畳む花弁のなかに、
とてつもなく、
研ぎ澄まされて美しい、
鋭利な感性。


これは、
想像以上の撮影になる。

予感めいたものが、
脳髄にゆらりと蠢いていた。


ーー


今思い返せば、
初めから私は彼女の掌中にいた。

シェアスタジオの白ホリ。
私は初対面の方とは、
必ず無難な背景から撮り始める。
人柄を把握するためだ。

 

 

無の白ホリで作り出せる人、
逆にシチュエーションで攻めてくる人、
実に様々いらっしゃる。

優劣ではなく、
得意分野の違い。


彼女は、どちらもいける。

 

 

堀川くんにしっくりこなくて、
と、DMで交わしていたはにかみの言葉。
嘘だ、と思った。

 

百合を片手に抱き、
柔和に微笑む姿は、
まさしく堀川国広そのもの。

自分の好みを
ちゃんと分かっている。
どう見せたいか、
しっかりと把握している。


自ら姿見を移動させ、
ポージングをチェックする
自発的な行動に、
自ら提案し、動いていく姿に
「いったい何がしっくりこないのか」と
疑問しか浮かばない。


こんな初めから完璧な方が、何故。

 

それは、すぐに判明した。

 

上階にある赤い格子があるブースで、
彼女は文字通り「花開いた」

 

 

ふとした時。

楓嗣さんが
深紅の格子に背もたれ、
遠くに投げられた視線に、
ざわりと背筋が粟立った。

 

「すみません、自分の首を締めてみてください」

 


初対面の方に何をいってるんだろう。
気でも狂ったのか、私は。

頭の片隅で自分を戒めつつも、
そう言わずにいられなかったのだ。


はい


ゆうるりと微笑んで、
受け入れた彼女は、
衣装の一部を解き、
ほっそりした首を晒して、

指を絡めた。


彼女は、
シチュエーションも空気も、
あまつさえ、

堀川国広を飲み込んだ。

 

凄絶な艶を帯びた空気は
一瞬で全てを変えた。

 

それから続いた、

互いの応酬をなんと言えばいいか。


恋でもなければ、
駆け引きでもなくて。


あれがね、こうしてね、
と、喋りたくて口が開くも、
あの日の情景が浮かべば、
やっぱり秘密、と指が口を塞ぐ。


肌を撫ぜた雨の空気も、雫も、
腕が伸ばされ、
優雅に弧を描いたシルエットさえも、
どれもが極上で仕方なくて、
言葉にすると途端にやすっぽくなる。


ただ、ひとつ言えるとするなら。
楓嗣さんが乱、堀川が似合う所以。

想像もつかない所に、武器をもっていること。
あれは天性のもの。


沢山の人に見せてほしい。
けど、
余り大っぴらにされると、
妬けてしまう。


だから、
あの日の撮影は、
秘密に止めておきたい。


赤裸々に語られたお話も、
私が感極まってしまった事も。

 

写真の神さまはいるんだと思い、

今までの撮影のことが頭を巡り、

嬉しくって、枕を濡らしてしまったことも。


ーー

 

三千世界の鴉を殺し
主と......がしてみたい。



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シンデレラを知っているか

某所にて撮影

model:宇佐美みる。さん


ーー


シンデレラという童話がある。

継母から虐げられたシンデレラが、
とある魔女と出会い、
掛けられた魔法で美しくなって、
王子様と結ばれるという有名な話だ。


もし。
なんの変哲のない人を、
魔法使いに変えるシンデレラがいたとしたら。

私は、雨降る薔薇園でそんな被写体さんと出会った。


ーー


春先にアカウントを立ち上げた。

長く使い古したアカウントを捨て、
一新し、
カメラ専用のものに。


長い付き合いの友人がいない中、
被写体になってくれる方は皆無 。
私はタグを使って被写体を募るしかなかった。


過去作品もないアカウントは怪しい。
反応は薄かった。
むしろ無かった。

ただ反応を待ち、
諦めかけそうになった期日前。
滑り込みで応えてくれたのが、彼女だ。

おもいかえしても、
とても勇気ある事だとおもう。
過去作品のない
何を撮るかも分からない人に対し、
時間を預けられるだろうか。


大胆不敵さというか、
そういった思い切りの良さを携えつつ、
思わずこちらが腰を低くしたくなる対応で、
彼女は快く撮影を受けてくださった。


そして、
待ち合わせ場所に、
シンデレラは現れた。


花開く笑顔を浮かべ、
「まきさんですか」と問いかけて。


あの時から私は、
魔女の道に進むこととなる。



撮影場所は薔薇園
屋上庭園で、雨降り。
奇しくも、私たちがシャッターを切り始める頃には快晴。


雨露に濡れる薔薇の中、
夢の情景に溶け込む彼女は
本当に美しかった。
ファインダー越しから伝わる、
楽しみ、花を愛で、
空気そのものを愛する様子に
無性に何かが込み上げる。



様子見で1枚。

それが、始まりだった。


それ以降、
途切れることなく
私は彼女を撮り続けている。



カメラマンと、被写体として
魔女と、シンデレラとして

時に、尊敬する女性として。


宇佐美さんは強い。
それはずっと変わらない。

未知のものに、
どうして飛び込んでいけるのか。
あれだけ純粋な眼差しを向けられ、
「すべてお任せします」と言われ、
応えないカメラマンがいるものだろうか。

言葉で、態度で、
そうやって信頼を見せてくれる。

初対面の際、
「まるで城のお姫様のようだ」と
例えたことがある。
まさにそうだ。
腹を据え、
まっすぐ向き合う強さ。
動じない心構え、
奥ゆかしく、品のある佇まい。
時折魅せる、愛嬌だとか。

ファインダーを
万華鏡に彩る、
不思議な女性。






お互いに違う分野ではいるけど、
彼女は被写体として、
なにかを周囲に伝えている。

彼女の意図とは違うだろうけど、
少なくとも私は、
可能性を教えて頂いた。
そのおかげで、
私はカメラに向き合えた。



オフのとき、
私に零して下さった事を思い出す。

誰もいない喫茶店で、
紅茶を飲みながら
カメラや被写体について、
熱く語り合った時のことを。


外の気温に反して、
熱くなっていく互いの情熱は、
内々から湧き上がって
互いの眼差しが変わった。


それが、私の「魔力」の源
今でも「魔法の杖」に宿っている。


あれから少し時間が経ち、
活躍の場を広げるために、
階段を登り、
彼女は更に変化を遂げた。

被写体として、
みるみる成長する彼女は、
可能性の塊でしかない。


強さも礼節もそのままに、
女性として、
さらに気高く美しく。


1人の人間を魔女にしてくれたシンデレラ

彼女を語らずして、
私のカメラの在り方は語れないのだ。
感謝せずには、いられない。








彼女を語る画像を探して、
それに相応しいのは、
この1枚。

私が魔法に掛けられた1枚
今でも宝物。
カメラを志す方、
被写体として高みを目指す方、
レイヤーとして表現を磨く方

そんな方が、
魔法使いになれる
そんなご縁がありますように。


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ヒプノシスマイク:碧棺左馬刻$山田一郎

2018.10月 某所

碧棺左馬刻:ウズさん
山田一郎:和央さん


ジャンル:ヒプノシスマイク

ーー


カメラマンでありながら、
目撃者になるしかない
そんな経験を味わった事はあるだろうか。

技術も経験も全てが無意味になって、
ただ「この物語」を収めなければ
そう駆り立てられる撮影だった。


撮影日は台風24号直撃の後で、
被写体のお二人は遠くから苦労して撮影場に足を運んでくれた。
感謝はひとしおである。
私も無論遅れて撮影場に入り、
ウズさんとはそこで初対面となった。


お二人共、実に丁寧な方で、
ウズさんはお会いするなり
指を揃えてお辞儀をしてくれた姿が印象的だった。

和央さんは数回の撮影を交わしており、
この日も穏やかな笑顔と、
物腰柔らかな対応で出迎えてくれた。


この日は流行りのジャンル・ヒプノシスマイクの、碧棺左馬刻、山田一郎の撮影だった。


ヒプノシスマイクの世界観をさらっておこう。
女尊男卑の世界 h歴では武器は根絶され、男は代わりにヒプノシスマイクで闘う。
マイクを通したリリックは人の交感神経などに作用することが可能だ。
バトルの勝者には領地が与えられ、
ラップ、言葉の力で男は力を競うようになる(意訳)

碧棺左馬刻、山田一郎、
神宮寺寂雷、飴村乱数

彼らはかつて伝説のチーム TDDを組んでいたが、解散。
その後、各々がリーダーとなってグループを持つこととなる。

碧棺左馬刻、山田一
2人は不良時代に接点があったとされる。


この接点があった時代に焦点を当てて、
当日は撮影を始めた。

和やかな雰囲気から撮影はスタートした。
ソファベッドに二人が座り、
ライティングや角度を見ながら
「ハマる」場所を探す。
カップリングの撮影だったので、
徐々に二人が噛み合っていくのを見守った。


こういった時、
カメラマンと併せ相手を巻き込むのが和央さんだ。


部屋の雰囲気が変わった。



このとき、肌を刺すような感覚があるので、私は息を詰める。
ウズさんも変化を感じ取ったのを察した。


人は、
何かが「降りる」ときに
呼吸音から変わる。


無意識か否か、
和央さんはそこを理解している。


嗚咽を零す「山田一郎」がそこにいた。
受け入れる「碧棺左馬刻」が存在した。


静かに終わりに向かって、
終わりがあると知って進む過去のふたりを、私は息を殺して見届けるばかりだった。

凄かったのは和央さんだけではない。
目の前の人間が空気を変え、
物怖じせずに呼吸を合わせていけるウズさんの、そういった柔軟さがなければいけない。

本人は人見知りと仰っていたが、
人の様子を察する能力が人一倍高いのだ。
そして、相手と呼吸を合わせていく感性がすばらしい。
相手と距離感、噛み合うものが一致した途端、彼女は一気にゾーンに入る。

彼女のゾーンは、
和央さんの引っ張っていくものとは違い、相手に合わせていける事だ。

物怖じしない、
相手が何を考えてるか察して、
そこに居られる事。
動くべきところ、
動じずにいれるところを理解している。
こういう方がいないと、
構図も空気も、存在感が出ない。
動じずにいて、
存在感をキープするのは、
簡単なようで難しい。
ウズさんにはそれがある。
本当に素晴らしかった。

少しでも乱れては、
あの空間は存在しなかった。


二人の呼吸が揃って、
そこに為す術なく圧倒されて、
私は間違いなく
あの時は目撃者だった。
もちろん隔離されたものではなく、
見せられたといっても過言でないし、
関係者としてといっても適切である。


しんみり切なく書いてるが、
この日の撮影は九割笑っていた。
笑って笑って、
そして一気に撮り終えた。

撮影時間は正味3時間半か、4時間。
やや足りないと感じた時間だが、
二人のお人柄と才能があったからこそ、
見る度に切なくなるデータが残った。



そのうちの1枚
これぞ、という画像を貼っておく

英文は好きに解釈して、
この空気を彩って頂きたい。


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