カメラおいしい

撮影させて頂いた方をプレゼンするblog

ヒプノシスマイク:碧棺左馬刻$山田一郎

2018.10月 某所

碧棺左馬刻:ウズさん
山田一郎:和央さん


ジャンル:ヒプノシスマイク

ーー


カメラマンでありながら、
目撃者になるしかない
そんな経験を味わった事はあるだろうか。

技術も経験も全てが無意味になって、
ただ「この物語」を収めなければ
そう駆り立てられる撮影だった。


撮影日は台風24号直撃の後で、
被写体のお二人は遠くから苦労して撮影場に足を運んでくれた。
感謝はひとしおである。
私も無論遅れて撮影場に入り、
ウズさんとはそこで初対面となった。


お二人共、実に丁寧な方で、
ウズさんはお会いするなり
指を揃えてお辞儀をしてくれた姿が印象的だった。

和央さんは数回の撮影を交わしており、
この日も穏やかな笑顔と、
物腰柔らかな対応で出迎えてくれた。


この日は流行りのジャンル・ヒプノシスマイクの、碧棺左馬刻、山田一郎の撮影だった。


ヒプノシスマイクの世界観をさらっておこう。
女尊男卑の世界 h歴では武器は根絶され、男は代わりにヒプノシスマイクで闘う。
マイクを通したリリックは人の交感神経などに作用することが可能だ。
バトルの勝者には領地が与えられ、
ラップ、言葉の力で男は力を競うようになる(意訳)

碧棺左馬刻、山田一郎、
神宮寺寂雷、飴村乱数

彼らはかつて伝説のチーム TDDを組んでいたが、解散。
その後、各々がリーダーとなってグループを持つこととなる。

碧棺左馬刻、山田一
2人は不良時代に接点があったとされる。


この接点があった時代に焦点を当てて、
当日は撮影を始めた。

和やかな雰囲気から撮影はスタートした。
ソファベッドに二人が座り、
ライティングや角度を見ながら
「ハマる」場所を探す。
カップリングの撮影だったので、
徐々に二人が噛み合っていくのを見守った。


こういった時、
カメラマンと併せ相手を巻き込むのが和央さんだ。


部屋の雰囲気が変わった。



このとき、肌を刺すような感覚があるので、私は息を詰める。
ウズさんも変化を感じ取ったのを察した。


人は、
何かが「降りる」ときに
呼吸音から変わる。


無意識か否か、
和央さんはそこを理解している。


嗚咽を零す「山田一郎」がそこにいた。
受け入れる「碧棺左馬刻」が存在した。


静かに終わりに向かって、
終わりがあると知って進む過去のふたりを、私は息を殺して見届けるばかりだった。

凄かったのは和央さんだけではない。
目の前の人間が空気を変え、
物怖じせずに呼吸を合わせていけるウズさんの、そういった柔軟さがなければいけない。

本人は人見知りと仰っていたが、
人の様子を察する能力が人一倍高いのだ。
そして、相手と呼吸を合わせていく感性がすばらしい。
相手と距離感、噛み合うものが一致した途端、彼女は一気にゾーンに入る。

彼女のゾーンは、
和央さんの引っ張っていくものとは違い、相手に合わせていける事だ。

物怖じしない、
相手が何を考えてるか察して、
そこに居られる事。
動くべきところ、
動じずにいれるところを理解している。
こういう方がいないと、
構図も空気も、存在感が出ない。
動じずにいて、
存在感をキープするのは、
簡単なようで難しい。
ウズさんにはそれがある。
本当に素晴らしかった。

少しでも乱れては、
あの空間は存在しなかった。


二人の呼吸が揃って、
そこに為す術なく圧倒されて、
私は間違いなく
あの時は目撃者だった。
もちろん隔離されたものではなく、
見せられたといっても過言でないし、
関係者としてといっても適切である。


しんみり切なく書いてるが、
この日の撮影は九割笑っていた。
笑って笑って、
そして一気に撮り終えた。

撮影時間は正味3時間半か、4時間。
やや足りないと感じた時間だが、
二人のお人柄と才能があったからこそ、
見る度に切なくなるデータが残った。



そのうちの1枚
これぞ、という画像を貼っておく

英文は好きに解釈して、
この空気を彩って頂きたい。


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